

■ はじめに
年金の繰上げ受給。
60歳からもらえるのは魅力的ですが、本当にお得なのでしょうか?
今回は、60歳で年金を繰上げ受給した67歳の女性が「もう戻れない…」と後悔している実話をもとに、繰上げ受給のリスクや後悔しないための対策について考えていきます。
「私はもう戻れないけど、あなたはまだ選べる」
もしあなたが年金をいつ受け取るか悩んでいるなら、ぜひ最後まで読んでください。
■ 67歳女性の告白:「繰上げ受給を決めた理由」
「私は67歳。毎月8万4千円の年金で生活しています。でも、正直に言うと、生活は厳しいです。
それもこれも、60歳のときに年金を繰上げ受給してしまったから。
あのときの私は、65歳まで待つ余裕がなかったんです。
夫が亡くなり、収入がゼロに…
夫は定年退職後、まだまだ元気でした。でも、64歳のときに突然倒れ、帰らぬ人に。
夫の遺族年金はありましたが、生活するには十分ではありませんでした。
自分の健康への不安…「長生きできるかわからない」
私は50代から高血圧の薬を飲み始め、60歳になる前には膝の痛みも悪化していました。
「母も70代で体を悪くした。65歳まで待っても、その頃には動けなくなってるかもしれない…」
「お金は元気なうちに使うべき」
そんな思いが強くなり、60歳で年金を繰上げる決断をしました。
しかし、その決断が大きな後悔につながることを、そのときの私は知りませんでした。
■ 実際にもらえる年金額の差…「75歳で逆転する」
私は本来、65歳から月12万円の年金をもらえるはずでした。
でも、60歳で繰上げ受給を選んだため、30%減の月8万4千円になりました。
最初の5年間(60歳~65歳)は、「もらえてよかった」と思いました。
でも、67歳になって衝撃の事実を知りました。
娘が計算してくれたんです。
「お母さん、65歳まで待った人は、毎月12万円もらえるけど、お母さんは8万4千円しかもらえないよね?」
「そうね。でも、私は60歳からもらってるから、その分得してるでしょ?」
「確かに、お母さんは60歳から月8万4千円×5年=合計504万円もらってる。
でも、65歳からもらう人は毎月12万円だから、お母さんとの差は月3万6千円。
つまり、**504万円 ÷ 3万6千円 = 140ヶ月(約11年8ヶ月)**で追いつかれる。」
「えっ…?」
「つまり、お母さんが75~76歳になると、**65歳まで待った人に追いつかれて、その後は毎月3万6千円ずつ差が開いていくのよ。」
「80歳になるころには、受給総額で200万円以上の差がつくよ。」
私は言葉を失いました。
私が「得をした」と思っていたのは最初の5年間だけ。
75歳を超えたら、もらえる総額はどんどん減っていく。
■ 繰上げ受給のメリットとデメリット
✅ 繰上げ受給のメリット
- 60歳からすぐに年金を受け取れる
- 無収入期間を減らせる
- もし短命だった場合はトータルでもらえる額が多くなる
❌ 繰上げ受給のデメリット
- 受給額が30%減額され、一生戻らない
- 65歳以降、年金を満額もらう人との差が開く
- 75歳を超えると、総額でも繰上げした人の方が損する
- 物価上昇や医療費の増加に対応できなくなる

■ 専門家の解説:「日本の年金制度と高齢者の貧困問題」
シニアライフアドバイザーの倉本玲子さんによると、繰上げ受給は後悔する人が多い制度だといいます。
「現在、日本の高齢者の4人に1人が60歳から繰上げ受給を選んでいます。しかし、実際には65歳以降に生活が厳しくなる人が増えています。」
📉 生活保護を受ける高齢者が増加
年金だけでは暮らせない高齢者が増えており、生活保護を受給する人も増えています。
しかし、生活保護は申請のハードルが高く、受けたくても受けられない人も多いのが現状です。
「長生きすればするほど、繰上げ受給のデメリットが大きくなる。」
これを知ったうえで、受給のタイミングを慎重に考えましょう。
■ 繰上げ受給を選ぶ前に考えてほしいこと
🔹 働けるうちは少しでも働く(週2~3日のパートや在宅ワークなど)
🔹 支出を見直す(固定費を減らし、無駄な出費を抑える)
🔹 繰上げではなく、部分的に受給する方法も検討
■ 67歳女性の後悔:「私はもう戻れないけど、あなたはまだ選べる」
私は、もうこの決断を変えることはできません。
でも、あなたはまだ選ぶことができます。
「今さえ良ければいい」ではなく、「70代・80代になったときにどうなるか」を考えてください。
「私はもう戻れないけど、あなたはまだ選べる。」
この言葉が、少しでも皆さんの参考になれば幸いです。
まとめ

- 60歳で繰上げ受給をすると、年金が30%減額される
- 75歳を超えると、受給総額で繰上げした人が損をする
- 老後の生活費・医療費を考えると、できる限り繰上げは避けたほうが良い
- 「本当に今すぐ必要なのか?」をよく考えることが大切
あなたは、どうしますか?