

「年金でつつましく暮らす」
それが理想だったはずの老後に、
“医療と介護”という現実が突然のしかかってくる。
今回は、72歳の木下美智子さんの体験をもとに、
高齢者の医療費・介護費の実情と、
利用できる支援制度について解説します。
【木下美智子さんの現実】
木下さんは、神奈川県の団地でご主人とふたり暮らし。
ところが2年前、ご主人が脳梗塞で倒れ要介護3に。
デイサービス・福祉用具・おむつ代など、介護費は月に約4万円。
さらに、木下さん自身も通院が必要で、医療費が月1.5万円。
年金は夫婦合わせて18万円程度。
しかし、医療+介護だけで7万円近く出ていく日々。
「年金じゃ足りません…この先が見えないんです」
【医療費・介護費の実態と数字】
- 75歳以上の医療費:年間約92万円(月平均約7.7万円)
- 要介護3の介護限度額:月約26.9万円 → 自己負担約2.7万円
- 福祉用具・おむつ代など:月1〜2万円の自己負担はよくあるケース
【使える制度を知る】

◆ 高額療養費制度
70歳以上の一般所得層なら、医療費の自己負担は月18,000円程度が上限。
申請すれば払い戻されます。
◆ 介護保険制度
- 1〜3割負担(多くの方は1割)
- 住宅改修や福祉用具も対象
- 手すり設置など最大20万円まで補助あり
◆ 自治体独自の助成
- 紙おむつ・パッド:月3,000〜6,000円の補助あり
- 介護タクシー、配食サービスなども要チェック
【どこに相談すればいい?】
- 地域包括支援センター:介護・医療・福祉の総合相談窓口
- 市区町村の福祉課・介護保険課:助成制度や申請窓口
- ケアマネジャー:サービス内容・制度利用のプロ
- 社会福祉協議会(社協):家計・生活の相談もOK
【まとめ:ひとりで抱え込まないで】
「生活が厳しいのは、あなたのせいじゃありません。
制度は、困ったときにこそ使うためにあるんです。」
年金生活でも、医療や介護の不安を抱えていい。
でも、それを“相談すること”で軽くできる道は、きっとあります。
