年金受給者を狙うクレジットカード詐欺にご注意を

年金で生活している方々を狙った、巧妙なクレジットカード詐欺が増えています。今回は、実際に被害に遭われた73歳の男性・佐藤誠一さんのケースをもとに、その手口と対策についてお伝えします。


■ 真面目な年金生活者が狙われる理由

佐藤さんは郵便局に長年勤め、退職後は年金だけでつつましく暮らしている男性。几帳面な性格で、役所などの書類にも真面目に対応するタイプです。そんな佐藤さんのもとに届いたのは、「年金に関する重要なお知らせ」と書かれたはがき。そこにはQRコードが印刷されており、「このままでは支給が止まる可能性がある」と記載されていました。

不安になった佐藤さんは、スマートフォンでQRコードを読み取り、表示されたサイトに個人情報と銀行口座情報を入力。その数日後、年金や退職金を合わせて大切に貯めていた300万円以上が、見知らぬ口座に引き出されていたのです。


■ 年金詐欺の代表的な手口

現在、年金受給者をターゲットにした詐欺には以下のような手口があります:

・年金機構を名乗る偽のはがきや封書でQRコードを読み取らせ、偽サイトへ誘導 ・「還付金がある」といってATMで振り込ませる ・「年金生活でもクレジットカードが作れますよ」と勧誘し、高額のリボ払い契約をさせる

これらの手口は、どれも見た目が非常に“本物らしく”作られており、注意深い人でも簡単に騙されてしまいます。


■ 未然に防げたケースから学ぶ

一方で、詐欺を未然に防いだ方の例もあります。76歳の西村文子さんは、「医療費の還付金があります」と市役所職員を名乗る人物から電話を受けましたが、「娘に聞いてから」と電話を切り、自分で市役所に確認。詐欺だと判明し、被害を防げました。

文子さんが言っていたのは、「いつも娘と“おかしいと思ったら一呼吸おいて相談する”と決めていた」こと。

日頃から家族と情報を共有し、不審な連絡があったときにすぐ相談できる環境が、被害防止には非常に効果的です。


■ シニア世代にできる4つの防犯習慣

  1. 不審な電話・郵便物が来たら、一人で判断せず必ず誰かに相談する
  2. 暗証番号や口座情報は絶対に教えない
  3. 年金機構や役所が電話やメールで個人情報を求めることはないと知っておく
  4. 家族で「合言葉」や「相談ルール」を決めておく

■ 最後に

年金生活者を狙う詐欺は、今後もますます巧妙になる可能性があります。大切なのは「自分だけは大丈夫」と思わないこと。そして、困ったときや迷ったときには、すぐ誰かに相談することです。

この情報が、あなたやご家族を守るきっかけになれば幸いです。