

はじめに
「人と話したいけど、付き合うのがしんどい」
「一人でいるのは寂しい、でも群れるのも疲れる」
60代・70代の方々から、こうした声が増えています。
今回のテーマは、「老後の人付き合いの距離感と孤独」。
本音を言えない関係、LINEのグループ疲れ、会話の温度差――
誰にも相談できないけれど、心の奥にずっと引っかかっている“人付き合いの悩み”について考えます。
相談者・田中和子さんの体験
72歳・一人暮らしの田中さんは、かつてはママ友やご近所とよく交流していたそうです。
けれども、子育てが終わり、生活スタイルも話題も変わっていく中で、少しずつ関係が変わっていきました。
最近では、LINEのグループに気疲れし、
体調が悪くて一度お誘いを断ったことで、周囲から距離を取られてしまった経験も。
「誰かと話したい。でも、関わりたくない」
「この気持ちって、わがままなんでしょうか…?」
そんな葛藤の中で、彼女は今日も静かにコーヒーを飲んでいます。
社会全体が抱える“孤独の構造”
高齢者の孤独や孤立は、すでに深刻な社会問題です。
- 2024年上半期、全国で一人暮らしの高齢者が約2万8000人亡くなり、
その多くが“孤独死”とみられるケースでした。 - 最近では「2人孤独死」や、「8050問題」のように、家族ごと孤立するケースも増えています。
これは、ただの“人付き合いの悩み”ではなく、命にも関わる社会的課題になりつつあるのです。
専門家の解説:川島弘美さんより
シニアライフアドバイザー・川島弘美さんはこう語ります。
「人付き合いは“深さ”ではなく、“安心感”が大切です」
・誰かと挨拶を交わせる
・月に1回、顔を見て話せる場所があるそれだけでも、人は“私はここにいていい”と感じられるのです。
また、孤独はフレイルや認知症のリスクも高めます。
“ひとりでいたい”という気持ちと、“誰かとつながっていたい”という気持ち、
その両方を抱えている人が、今、とても多いのです。
無理なくつながるためにできること
- 地域のサロンや集いに、気が向いたときだけ顔を出す
- ご近所に「こんにちは」と一言だけ声をかける
- 昔の友人に「元気?」とLINEしてみる
完璧な関係や深いつながりを求めなくてもいい。
“自分にとってちょうどいい距離感”を、大切にしていいんです。

まとめ
「わがままかな?」と感じていた自分の気持ち。
それは、誰にでもある、自然な揺れです。
人付き合いがつらいと思っているあなたへ――
無理せず、自分のペースで。
つながる勇気も、一人でいる選択も、どちらもあなたを守る力です。