
「あなたになら紹介できる」と言われたあの日から…
「マルチ商法」――
それは一見、怪しく見えても「私は関係ない」と多くの人が思っています。
でも、それが**“心の隙間”に入り込んでくるとき**、それはもう“詐欺”ではなく“人間関係”の顔をして近づいてきます。
今回ご紹介するのは、**68歳の一人暮らし女性・中野洋子さん(仮名)**が語る、
マルチ商法に巻き込まれて人生を失いかけた、老後崩壊の記録です。
「誰かに必要とされたかった」
マルチ商法は、心の渇きを狙ってくる
中野さんは10年前にご主人を亡くし、年金月8万円で暮らす一人暮らし。
毎日を淡々と過ごしながら、ふと「誰とも話さない日」が増えていく中、
市の健康講座で出会った“笑顔の女性”からこう声をかけられます。
「洋子さんって、話しやすいですね。うちの集まりにも来ませんか?」
それは、ただの雑談から始まった“仲間づくり”のように見えました。
でもその実態は、健康商材を広めながら販売員を増やしていくマルチ商法だったのです。
「あなたの声なら売れますよ」
気づけば5万円、10万円と商品購入が増えていく
「紹介すれば収入になる」
「仲間が増えれば負担も減る」
「稼げてる人はたくさんいる」
そう言われた中野さんは、紹介活動にのめり込んでいきます。
最初は1万円の酵素ドリンク、次は会員価格で購入できる5万円のセット…
クレジットカードを使い、気がつけば80万円の負債を抱えるまでになっていました。
断られる、避けられる、孤立する
“仲間”のはずの人たちは、誰も助けてくれなかった
「また勧誘?」「ちょっと迷惑だわ…」
ご近所の人たちや旧友から、距離を置かれるようになった中野さん。
紹介も売上もゼロのまま、次第に“会”からも遠ざけられ、
ついには“坂口さん”という指導役との連絡もつかなくなります。
部屋には山積みの商品、
ポストにはカード会社からの督促状。
「まさか、自分がここまで落ちるなんて」
中野さんの現実は、崩れていました。
「私の人生、ここで終わるかもしれない」
沈黙と孤立が、老後をむしばんでいく
ある日、中野さんはガスの火を見つめながら、
“これを止めなかったらどうなるのか”を考えていたそうです。
本気ではなかった。
でもそれは、心が壊れ始めている証でした。
誰にでも起こり得る
「私は騙されない」その思いが一番危険
マルチ商法の怖さは、「商品」や「勧誘」そのものではありません。
寂しさ・不安・誰かとつながりたい気持ち――そうした感情の隙間を突いてくること。
「自分は大丈夫」
そう思っていた人が、一番最後に崩れていく。
それが現代のマルチ被害の特徴です。
中野さんの言葉が突き刺さる
「私は、“信じたかった”だけだったんです」
「でもその気持ちが、人生を壊しました」
同じように悩む方へ
▼今すぐできる自衛のポイント
- お金の話は、誰に言われても一度立ち止まる
- 甘い話、“特別扱い”には必ず裏がある
- 何より「一人で判断しない」ことが最大の防御
まとめ
孤独、不安、そして「誰かに必要とされたい」という気持ち。
それは誰にでもある、人間らしい感情です。
でも、その感情を利用する人間がいるという現実を、私たちは知っておくべきです。
「私には関係ない」と思っている今、
その油断こそが一番の落とし穴かもしれません。
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