「家族が一番の裏切りだった」母と暮らしていた実家を相続で失い路上へ…68歳独身女性が語る老後破綻と孤立の現実

■ 家族と暮らした“はずの家”で、追い出された老後

「この家は、母と私の家だった」
そう信じていた岩田志乃さん(仮名・68歳)は、母を看取ったあと、まさか自分が**“家から追い出される側”**になるとは夢にも思っていませんでした。

「名義がないなら出ていけ」
その一言を告げたのは――実の弟でした。


■ “実家”を老後の居場所にした女性の思い

志乃さんは独身。若い頃から母と一緒に実家で暮らし、母の介護もすべて1人で担ってきました。
父が早くに亡くなってからは家計もやりくりし、パートをしながら母との慎ましい生活を守ってきたといいます。

母からは何度もこう言われていたそうです。

「この家は志乃のものだよ。お前がいてくれて本当に助かった」

志乃さんにとって、実家は老後のすべてでした。
住まいであり、人生であり、“最後の避難所”でもあったのです。


■ 母の死と同時に届いた「遺産分割協議書」

ところが、母が亡くなった数ヶ月後――
志乃さんのもとに届いたのは、「遺産分割協議書」でした。

そこにはこう書かれていました。

「実家は弟・妹が相続の対象とし、志乃は居住権を有しない」
「早急に退去の同意書を返送のこと」

志乃さんは唖然としました。
自分が何十年も住み、母と過ごしてきた家が、**“自分のものではなかった”**という事実を、初めて突きつけられたのです。


■ 弁護士にも「権利はありません」と告げられて

法テラスに相談した志乃さん。
そこで言われた言葉は、さらに冷たく現実的でした。

「名義がない以上、居住権は主張できません」
「相続協議書に署名がないとトラブルになりますよ」

母が口で言っていたことは、法律上は何の効力もありませんでした。
弟妹との感情の溝は一気に広がり、弟からは内容証明で正式な「退去通告」が届いたのです。


■ 家を出た日、行き場のない68歳が向かった場所は…

泣く泣く荷物をまとめ、志乃さんは実家を出ました。
向かったのは、駅前のバスターミナル
行くあてなどありません。

「母と暮らしたあの家が、私の人生だったのに…」
スーツケースひとつ、行き場のない夜。
志乃さんは、ベンチで朝を迎えました。


■ ネットカフェ、住み込み清掃、壊れる身体

数日後、掲示板で見つけた「高齢者歓迎・住み込み清掃スタッフ」の仕事に応募し、なんとか屋根のある場所を確保。
けれどその生活も、過酷な労働と体調悪化によって、長くは続きませんでした。

足が腫れ、膝が痛み、手首を負傷。
職場からは「少し休んでください」と言われ、そのまま雇用契約は切られました。


■ たどり着いた小さなアパートで思うこと

最終的に、市の支援で月3.5万円の古いアパートに入居。
今は細々と年金で暮らし、月に一度だけ近所の高齢者サロンに顔を出す生活をしています。

「ここが、やっと“自分の家”になった気がします」
「誰にも追い出されない。それだけで、安心なんです」


■ 家族は“最後の砦”じゃない現実

志乃さんは言います。

「母が生きていた頃は、きょうだいって何があっても味方だと思ってました。
でも、母がいなくなった途端、私たちの関係は“利害”でしかなくなったんです」


家族とは、頼れるものだと信じたい。
けれど現実には、**“家族が一番先に壊れる”**というケースが後を絶ちません。

特に相続や実家の名義をめぐるトラブルは、
法律と感情がぶつかる最も過酷な場面です。


■ あなたの実家、本当に“あなたのもの”ですか?

このブログを読んでくださったあなたに、ひとつだけ伝えたいことがあります。

「親が生きているうちに、きちんと“名義と権利”を確認してください」
「感謝の言葉では、家は守れません。書面がすべてなんです」


志乃さんの物語は、他人事ではありません。
老後の安全は、“情”ではなく“備え”によって守られるべきです。

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